――君を追放してあげよう

19XX年X月、XX県沖海岸にて一つのスーツケースが打ち上げられる。
その中身から持ち主は少女『園田未羽』であると判明。
彼女は二年前の『豪華客船ED【E】N号沈没事故及び全乗客員失踪事件』における乗客の一人であった。
又ケースの中から出てきた手記には、少女の視点から乗船中の出来事が”複数人分の筆跡により”記されていた。

『楽園』の名を冠した船において、あの夜に一体何が起こったのか?
手記が語る不可解な謎と殺人事件の記録、そして乗船客一覧に名の無い青年とは?
此れは誰の為の『楽園』で――誰の為の結末なのだろうか。

就きましては、貴殿を此の物語へとご招待致します。
――此れは、望まれた永遠と追放に至る為の物語。

Sonata for the narrator

compose: 零八


曲解説

 曲は二つの主題と主題から独立した「EDEC」の音形で構成されたソナタ形式となっております。
 序奏ではまずファゴットとコントラバスによるロートーンを革切りに、それにオーボエとフルートが呼応したところでグロッケンの和音がそれを打ち切ります。この動作をもう一度繰り返し、弦と管の音を再び打ち切るようにして「EDEC」の音型の一部がグロッケンによって奏でられます。
 そして先程の動作がクレッシェンドとともに上昇し、 「EDEC」の音型をもとにしたメロディーがグロッケンによって奏でられて頂点を迎え、提示部に入ります。
  中弦を主体とした陰鬱で重厚な第一主題がイ短調で提示され、ヴァイオリンのオブリガートを添えてもう一度繰り返したあと 「EDEC」の音型をもとにした推移部を経て流暢な第二主題がニ短調で提示されます。そのまま第一主題を伴奏にしてもう一度繰り返されて展開部に移行します。
  展開部ではニ短調のまま引き続き第一主題を伴奏にして序奏と第二主題の変奏が絡み合って緊張感が高められ、金管の強奏を経てその頂点を迎えます。緊張の頂点に達する直前に 「EDEC」の音型をもとにしたメロディーをグロッケンが奏で、頂点に達した瞬間グロッケンの和音によってそれが打ち切られて序奏に回帰し、再現部に移行します。
  第一主題はオーボエのオブリガートが新たに添えられながらも提示部と同じイ短調で再現されます。提示部の時のように繰り返されずにそのまま第二主題に移行します。この時推移部も省略されますが、グロッケンが「EDECis」と今まで出てきた「EDEC」の音型が長調風になり、その後の流れを仄めかします。第二主題も同様に木管のオブリガートが添えられてイ短調で再現されたあと「EDECis」の音型による長調風の推移部を経てコーダに移行します。
  コーダではイ長調に変調して第一主題の変奏がソロ・ヴァイオリンによって美しく奏でられ、木管と弦によって繰り返されてくグロッケンによる「EDECis」の音型とともに静かに美しく結ばれます。

ED【E】N

lyric: 流季
compose: 流季
arrange: ゆえり
cast: 園田 未羽(Vo. 一花) / 帳 櫂斗(Vo.ゆえり) / 碇 雄太(Vo.こばと) / 山外 夢(Vo.柚原紗希) / 寺門 高大(Vo.ふぁーじ) /
  中込 瑠璃(Vo.流季) / 子安 海(Vo.柴田将史) / 子安 鈴(Vo.gauche) / シン(Vo.ε-ium)



アイコンをクリックするとスタッフコメントがご覧頂けます。
流季【中込瑠璃役・作詞・作曲・企画責任】
一花【園田未羽役】
こばと【碇雄太役】
柴田将史【子安海役】
柚原紗希【山外夢役】
ふぁーじ【寺門高大役】
ゆえり【帳櫂斗役・編曲】
gauche 【子安鈴役・ウェブデザイン】
ε-ium【シン役・キャラクターデザイン・メインイラスト・スクリプト】
零八【イメージインスト担当】
八百雨【キャラクターデザイン・アイコン】

今回当企画において企画責任者及び中込瑠璃役を務めました流季と申します。
SynX内としては初めて発足した大型企画、私の未熟さ故もあり完成まで長期間を費やすことになりました。
企画完成までに協力頂いた全ての皆様へ、この場で改めての感謝を申し上げます。
本当にありがとうございました。

『ED【E】N』は一つの物語を基板とした創作企画となります。
大きな鍵となるのはゆえりさんに作編曲して頂き、そして多くのキャスト様方の声で歌われる合唱ですが、八百雨さんやε-iumさんのキャラデザインやメインイラストにアイコン、世界観を音のみで表現して下さった零八さんのインストにgaucheさんのサイトデザイン、数々のピースを全て集めて初めて完成するのがこの『ED【E】N』です。
合唱の歌詞だけでは導くことの出来ない『楽園』への真実へ、全ての破片を繋ぎ合わせて至ってみて下さい。
……と言いつつ、他のキャスト様方もコメントの方で時折触れられておりますように、今回お見せ出来たのはまだこの物語の表の姿のみでして。
裏の姿、謂わば『解答』となる物語も何時か何処かでお見せ出来るかもしれません……とこの場で零しておきます。役者と舞台が揃うならね。

唯一人の為に作られた楽園は、されど追放に因っての終幕を望まれます。
船の上で一体何が起こったのか、それが人為的であるならば誰がどのように何の為?
どうして事件は『園田未羽の視点の手記』という形でしか語られることを許されなかったのか。
園田未羽——【Eve】が追放されることによって終演と終焉に至る楽園の真実とは。
どうぞ、此の『ED【E】N』の物語をお楽しみ下さいませ。
ふぁーじと申します。
この度、寺門高大役を務めさせていただきました。
今回の企画はとても楽しかったです。
ですが、自分の稚拙な表現力でどこまでのことができたか、と少し不安に思っております。
皆様の足を引っ張っていないことを祈りつつ、挨拶並びにスタッフコメントとさせていただきます。
ED【E】N公開おめでとうございます!関係者のみなさんどうも長い間お疲れ様でした。
今回のはSynX初の企画もの(これより早く公開してる企画もありますが…発足タイミングとしては初)であり、友人としてもストーリーテラーとしても大好きな流季ちゃんの物語に音楽でアプローチできるというのもあり、作編曲の部分からMIXまで楽しくやらせて頂きました。一時期忙しくなってしまって仕事が滞ってたのはごめんなさい。譜面とかパート分けを無駄にややこしくしてしまって、キャストのみなさんにも流季ちゃんにも迷惑かけましたが、私は楽しかったので後悔してないです。笑 特に流季ちゃんには追加で歌詞やテキスト考えてもらったりなんだり、リクエストいろいろ聞いてくれてありがとう。こんなことできる相手はそうそういないんじゃないかと思ってるので、これからもどうぞよろしくしたい次第。ぜひ。…迷惑かけまくってる部分はなんとかしますごめん。
キャストの方でも櫂斗さんという役を頂き、こちらも精進したい次第。セリフの声と歌の声を統一するのって難しいすね…。でもミステリアスな男性の役好きなので、こちらも楽しんでやらせて頂きました。
だらだら締まらなくなってきそうなのでこの辺りで!サークルメンバーもゲストの皆さんも、また一緒に作品作れるのを楽しみにしてます!ありがとうございました。

イラストをクリックするとコメントボイスがお聴きいただけます。
ED【E】N イメージインストを担当した零八です。イメージインストに興味を持っていただき、本当にありがとうございます。
今回のイメージインストを作るに当たってはこの ED【E】N本編が一貫したストーリー展開によって作られた作品であること、つまり「オペラ」に近い作品であることを意識しました。
そこで本編のアレンジをするのではなく、この作品のストーリー展開を提示する「オペラの序曲」のような、独立した楽曲として皆様に楽しんで頂ける曲を目指して仕上げました。
独立した主題である「EDEC」はこの作品のタイトルである ED【E】Nをもとにしています。(Nって音はないんで苦しいといえば苦しいんですけどね・・・)
 本編は多種多様な登場人物が秘められた感情を基に朗々と唄い、この作品のストーリーが展開していきます。それとは別に、まるで「語り部」のようにこの作品のストーリーを俯瞰するような思いでこの曲を聞いていただけたら、作曲者としてこれほど嬉しいものはありません。
 最後に、このED【E】Nという作品を企画した流季さんを始め、本編におけるスタッフの皆様方、そしてこの作品を聞きに来てくれた方々にお礼を申し上げて、コメントの方を終わりにしたいと思います。
スタッフによるファンアートや設定資料集です。
サムネイルをクリックするとご覧になれます。

山外夢 / 八百雨

進撃のウェイターズ / ε-ium

テイザーイラスト / ε-ium

an unknown note / 流季