Sinfonietta No.1

作曲者:零八

I.Overture

II.Ballad

III.Scherzo and Finale

楽曲解説

I楽章は3分程度の序曲となっており、最も単純な三部形式に序奏を加えた形となっております。
序奏はバスーンとチェロのピッツィカートによるベースラインの上に乗っかるようにクラリネットとオーボエ、ホルンが厳かかつどこか破滅的な印象を感じさせるメロディを奏でます。そして第一主題への動機でバスーンからクラリネット、そしてフルートへと受け継がれる形のゼクエンツを形成し、ティンパニのロールを経て第一主題が高らかに奏でられます。その後クラリネットとオーボエを主体とした静かな間奏をへてそのままリズミカルな第二主題へと入ります。そしてティンパニのロールと1stヴァイオリンのつなぎを経てさらに盛り上がる形で第一主題に回帰し、そのまま一気に駆け上がるようにして終わります。

II楽章は比較的スローテンポな三部形式のバラードとなっております。
1stヴァイオリンとフルートによるゆったりとした序奏から始まり、弦五部によって第一主題が奏でられ、それに木管楽器とハープが加わって第一主題を繰返し一回目の大きな盛り上がりを見せます。
大きな盛り上がりが終わるとクラリネットによる第二主題が奏でられ、それがオーボエに引き継がれると、コントラバスによるアウフタクトからのロートーンによって弦五部を中心として上昇傾向の長大なゼクエンツを形成し再び大きな盛り上がりを形成したあとにそのまま第一主題に回帰します。
弦五部と木管楽器によって第一主題を繰返した後、盛り上がった雰囲気をそのままにして音量が下がった状態になって序奏が再び奏でられ、柔らかな雰囲気でこの曲の幕が閉じられます。

III楽章はスケルツォとフィナーレに分かれた二部形式になっており、その中でスケルツォもまた二部形式となっております。
ヴィオラのロングトーンを皮切りにしてコントラバスの刻みをベースにした不安感を煽るような序奏を経て、チェロとヴァイオリンの掛け合いによる緊張感ある第一主題が提示されます。チェロとヴァイオリンの掛け合いに連符が多くなり、緊張感が最大限に達した後にそれが弾けるように低音のロングトーンが鳴らされ、クラリネットとトロンボーンとチェロによってⅠ楽章の序奏が奏でられます。その後テュッティで繰り返され、フルートとオーボエによる対旋律によって破滅的な印象が強くなりながら大きな盛り上がりを見せます。そして弦の連符と金管の強奏によって絶頂に達した後急速に落ち着きを取り戻し、オーボエによってⅠ楽章第一主題の動機が歌われ、フィナーレへと突入します。
フィナーレに突入するとそれまでの不安感、緊張感から解放されたかのようなメロディーがトランペットを中心に奏でられ、1stヴァイオリンがトランペットから引き継ぐ形で主旋律を、クラリネットがⅡ楽章の第一主題を対旋律として奏でられながら繰り返します。その後低音楽器がこれからの旋律が威厳かつ自信に満ち溢れているかを予感させるような音形でゼクエンツを形成し、途中から打楽器や弦楽器が入ってきてフィナーレに入るための大きな盛り上がりを作ります。そのままティンパニのロールを経てⅠ楽章の第一主題をフィナーレにふさわしく威厳を持って奏でられます。そしてオーボエとバスーンによるフィナーレの序奏の変奏を対旋律にして、Ⅰ楽章と同様に静かな間奏が奏でられると第一主題のリズミカルな変奏が全体で奏でられ再び大きな盛り上がりと形成していきます。その後大きな盛り上がりをいったん打ち切るかのような木管楽器だけによるアンサンブルが一瞬だけ挿入された後、サスペンディッドシンバルのロールを皮切りにさらにそれ以上に盛り上がりを見せて一気に駆け上がり、金管楽器による堂々とした強奏を経て全楽器が変ロ長調を強奏してこのシンフォニエッタの幕が閉じられます。

編成

 

本作品のMIDIデータ作成にはDomino(http://takabosoft.com/domino)を使用しています。
本作品の録音データ作成にはSonatina Symphonic Orchestraを使用しています。